無線と規格
目次
はじめに
普段私たちが使用している携帯電話・スマートフォンやWiFiなどは無線で通信を行っています。これらの機器には技適マークがあり無線の免許がなくても簡単に使用することができます。このページでは無線関係のルールについて触れたいと思います。
免許不要で使える無線機器
まずはじめに、免許なしで使用できる無線機器について記載します。電波法第4条にて免許不要で使用できる無線機器について以下の3つが記載されています。
発射する電波が著しく微弱な無線局
市民ラジオの無線局
小電力の特定の用途に使用する無線局
また上記以外にも免許は不要だが登録が必要な登録局があります。
発射する電波が著しく微弱な無線局
一般に微弱無線(微弱無線局)と呼ばれています。3m離れた距離の電界強度の制約が定められており、それ以下の電界強度であれば免許はもちろん技適マークも不要で使用できます。この電界強度は無線機器の不要発射(スプリアス)とあまり変わらないレベルのため、実用的な通信距離は数m程度です。中には当社の無線モジュールSLR-429Mで使用しているような特殊な変調を使用している製品では100m程度の通信が可能な機器もありますが、通信速度は非常に低速になります。
以前は微弱無線に関して証明するようなマーク等はありませんでしたが(テレコムエンジニアリングセンターにて機器を測定して微弱無線設備の性能証明を取得する事は可能でしたが)、基準をオーバーしている製品も多く存在しているため、近年は登録制度などにより製品に微弱無線適合マーク(ELPマーク)を付けた製品が増えてきています。また総務省にて無線設備試買テストも定期的に行われているようです。適合マークの付いた製品を選んで使用する事をお勧めします。
詳しくは総務省の電波利用のホームページにある微弱無線局の規定をご覧ください。
市民ラジオの無線局
26.9MHz~27.2MHzの周波数帯を使用する機器で、空中線電力が0.5W以下かつ、技術基準適合証明を受けた無線局です。一般にCB無線と呼ばれています。
小電力の特定の用途に使用する無線局
特定小電力無線機器をはじめ、小電力セキュリティシステム、小電力データ通信システムなど空中線電力が1W以下で技術基準適合証明を受けた無線局です。WiFi機器やBluetoothをはじめ、弊社で販売している無線モジュールなどがあてはまります。皆さんにとって一番身近な無線局かもしれません。
以前は10mW(0.01W)以下でしたが、法改正により1W以下に変更になりました。
技適マーク
技術基準適合証明等を受けた機器には証明等を受けた旨の表示が付いています。一般に「技適マーク」と呼ばれています。技適マークの表示には技術基準適合証明、工事設計認証、技術基準適合自己確認があります。
一例として当社の無線モデムMU-3-429を下記に示します。写真のように工事設計認証を受けた証明として技適マークが付いています。
技適マークについては総務省 電波利用のホームページ内の検索ページから確認することができます。検索ページでは技適番号から該当機器を検索することもできますし、製品名、メーカー名から検索することもできます。
近年はスマートフォンなど直接技適マークが表示できないケースもあるため、設備本体のディスプレイや外部ディスプレイにより表示することも可能になりました。また弊社の無線モジュールのように機器に組み込んだ後に外から簡単に確認できない場合もありますので、その場合は無線モジュールの表示と同一の表示を当該製品に付けることも可能になりました。
技適マークは日本国内のみ有効です。外国で無線機器を使用する場合は、その国の無線規格を取得した機器を使用する必要があります。
※ 技適マークには特定小電力無線のようなマークがあればそのまま使用できる機器と、アマチュア無線や業務無線のようなマークに加えて免許が必要な機器がありますのでご注意下さい。
ARIB標準規格について
無線機器では技適マークと同じようにARIB標準規格という言葉を目にするかと思います。
ARIBはAssociation of Radio Industries Businessesの略で一般社団法人電波産業会になります。電波産業会では通信・放送分野にて電波の利用に関する調査・研究・開発・標準規格策定などを行なっています。
ARIB標準規格は日本国内の法律や法令・規則に基づいてARIBが作成した規格になります。この標準規格は電波法令等ではありませんが、標準規格の内容を網羅することにより関係法令をほぼすべてを満たすことができるため、各製品の仕様書等に記載されています。
弊社に関係するところでは400MHz帯/1200MHz帯の特定小電力無線のARIB STD-T67や315MHz帯のSTD-T93、2.4GHz帯のSTD-T66などが挙げられます。
またこの標準規格に記載されている概要を読むことにより、この規格(周波数帯)ではどのような用途や機器が使用することを目的としているか知ることができます。
無線機器が標準規格を準拠しているだけでは使用する事はできません。技適マークの取得や機器によっては登録・免許等が必要になります。